三遊亭歌之介作/「酔払い」

鹿児島方言古典落語のプロソディー解釈


(Windows Media形式 歌之介師匠許諾『爆笑120分パート2』収録)
全文転写 ~3分 ~7分20秒 ~9分20秒 ~14分20秒 ~20分40秒 ~24分20秒 ~最後

 作・演者の三遊亭歌之介師匠は、大隅半島南部鹿児島湾岸の錦江(旧・大根占)町出身で埼玉県在住。同年であり同じく多方言併用者である筆者の鹿児島方言と同様、一部の語彙の型所属の揺れ(エリマキ、ピストルなど)あるいはアクセント単位境界の揺れ([~ノ]ヨーの独立)が観察され、また、待遇表現によって方言的要素の出現を制御するなど、同世代・同性として似た点も多い。ただし、北薩・鹿児島市で育った筆者には未知の、大隅方言/鹿児島県南部方言に特徴的な語彙(アッコ、~カイ)や音韻(ドキvs.ドケ、ナイゴチvs.ナイゴテ、~デvs.~ジ)、また地域的に異なる可能性がある型選択(ユービン、オシャク)も出る。(児玉望)

凡例:(2008年3月全面改訂:「曲線声調と日本語韻律構造」『熊本大学言語学論集7』による。)

  1. アクセント句外の要素
  2. アクセント句(音韻論上の「語」)とその連続(音韻句)
  3. 句音調の実現

補説:準体助詞]ノ、]トの縮約形のデフレージング

 準体助詞]ト、]ノは、句音調を担うことはないが、A型のアクセント句としての核を維持する。しかし、母音を欠く異形態(n, Q)は、音節再編を引き起こし、この音節を含むアクセント句に統合されると考える。ンデス(<]ノ+デス])では、ン|デス]のようにアクセント句境界が区切られる。タッ(<]ト+ジャッ])では、タッとその活用形がジャッと同様にB型アクセント句を構成